私の仕事レポート

中国駐在の5年間

入社3年目から5年間、中国広州市に駐在して広州星野楽器製造(ドラムの自社工場)の立ち上げ、品質管理に携わりました。当時の写真と共にそのときの様子を少しずつお伝えします。

この写真は工場の建設風景です。アバウトで思うように進まない施工にやきもきしながら総経理(社長)と一緒にフローリングやタイルの色を決めていきました。無事に工場が完成したときには感激しましたし、気が引き締まる思いでした。工場の立ち上げに関わる機会なんてそうそうありませんので良い経験ができたと思っています。また、この頃は駐在し始めだったこともあり中国語が一切話せなかったため、一人での外食が大変でした。

ある日帰宅すると自宅の隣の建物が燃えているではありませんか。遠くからでも見て取れるその異変に思わず写真を撮ってしまいました。消防車のホースは穴が空いていてピューピュー水が飛び跳ねているし、全然消火活動が始まらないと思ったら値段交渉している最中。消防車が到着しても値段が決まるまでは動かないなんてその間の延焼が心配になります。

中国人の品管スタッフの業務効率アップを図りながら全商品の不良率を下げる仕組み作りに没頭する毎日。中国人スタッフの特性を理解しながら、上司として時には厳しく、時には優しく、無数にある品質基準を少しずつ品管スタッフに伝えていきました。入社3年目の私にとっては上司として部下を指導すること自体に戸惑いがありましたが、加えて言葉や文化の違いもあり、いろいろな面で苦労した覚えがあります。周りのスタッフにも助けてもらいながら、中国語の専門用語からコミュニケーションの取り方まで絶えず研鑽を積む日々でした。

ある日、コンテナに穴が空いている事が原因で入荷したパーツが水浸し。スタンド部門総出で天日干しをする事になりました。ずらりと並べられたパーツの状態をひとつひとつチェックしていきます。駐在期間が長くなるにつれて、予想だにしない問題が起こった際に慌てず臨機応変に対処する力がついたように思います。胆力も鍛えられ、だんだん何が起きても驚かなくなってきました。

上海で毎年10月に行われる中国最大の楽器ショーMusic Chinaにて他社商品の品質や流行の動向を調査しました。エンドース契約をしているプロドラマーのKenny Aronoffに会えたので記念撮影。やはりTAMAを使ってくださるアーティストとこうして会えるととても嬉しいものですね。

生産現場で、品管スタッフによる組付け工程の確認と完成品の出荷前検査が行われている場面。品質向上においては、不良率を下げると共にスタッフの離職率を下げることも重要です。なぜなら、これまで品質基準をひとつずつ覚え成長してきたスタッフ達に、できるだけ長く勤めてもらうことが品質の安定に繋がるからです。そのため、品管スタッフの意見に耳を傾け、働きやすい職場環境作りと団結力の向上に努めました。

海外駐在ならではのことだと思いますが、現地の風習に直に触れる機会があるのは楽しみのひとつ。毎年9月頃には中秋節という「月を愛でる日」があり社員全員で宴を催します。社員全員ともなると100人以上ですのでとても賑やかです。中秋月には月餅という包装の派手なお菓子を贈り合う習慣があり、たくさんもらい過ぎたからと言って他の人に横流しすると巡りに巡って自分に返って来ることがあります。

また、写真はありませんが、スタッフの一人から誕生日パーティーに誘われ参加したことがあります。中国では自分の誕生日に友達を大勢呼んで自費でもてなすんですね。行ってみると当然の様に顔にケーキを塗りたくられ、ついついはしゃいでしまいました。日本人と比べると社交辞令や変な遠慮がない人が多いと感じるのですが、私にとってはそれが新鮮で心地良いです。

こちらは、中国国内に出張した時のローカルビジネスホテル。何故かシャワールームが丸見えのガラス張り。一人とは言え少し恥ずかしいような気がしますが、開放感は抜群にあります。珍しかったので記念に写真を撮りました。

MR.BIGのPat Torpeyが中国で行われるクリニックのついでに工場にも寄って下さいました。駐在先でこんな素敵なプロドラマーに会えるなんて本当に感動です。