開発担当の具体的な仕事とは

1.商品の発想

市場の動向を調べ、テーマを設定し、商品の発想をします。主に国内外の楽器展示会へ参加することで、市場の動向を把握します。また、既に製品化された商品が市場に受け入れられているか? 改良の必要はあるのか? 製品化した商品は当社のブランドイメージと照らし合わせたときに適正か? 他メーカーとの競合はどのようになっているか? 市場は今後何を必要とするのか? アーティストの要求は製品に反映されているのか? などの情報収集により、製品開発のための発想を豊かにします。

2.開発テーマの決定

開発テーマを決めます。1.の活動で収集した情報および他の担当者が集めた数多くの情報を整理し、製品化あるいは改良のテーマを決めます。どこに重点を置き、どのテーマを優先して処理するのか、着眼点が大切な仕事です。星野楽器のポリシー「当社の商標をつけた製品はオリジナルであること」から独創性が必要となります。

3.商品構想を練る

発想を具体的にするためスケッチをし、商品の構想を練ります。 商売のための製品を作るわけですから、目標とする価格設定も考慮しておかなければなりません。構想した物を製品化するため素材 (木材・金属・プラスチック等) を選定し、素材を生かすための加工方法を考えます。ダイキャスト、表面の仕上げ (メッキ・塗装等) なども商品の売れ行きには重要な要素です。各種要素の特性を知り、その材料を十分生かすための知識も必要となります。さらに専門分野の知識を生かした機構の設計は、特に重要です。

4.具体的な図面化の前にクリアすべき重大なこと

それは予算です。粗い構想ができ上がると、開発のための予算を引き出す仕事も自分に課せられます。 他の社員が、商品を買うお客様の視点に立ち1~3までの仕事の内容を検討します。ここで1.で集めた情報が役立ちます。人に説明するためのスケッチ、プレゼンテーションもしっかり仕上げておかないと、はなから取り合ってもらえないこともあります。

自分の企画が通ると、これからが具体的な製品開発作業となります。

5.詳細部分を含めての設計

製品の構想をまとめ、詳細部分も含めて設計を行います。3.で書いたすべての仕様を決定していき、順次具体案に仕上げていきます。途中で軌道修正が必要となる場合も出てきます。

6.製品デザイン

自分の構想した製品のデザインもします。時には外部プロにデザインを依頼することもあり、デザイナーとの打ち合わせも担当者の仕事です。

7.試作品の制作

すべての設計に関する検討を終え、試作品を作ります。演奏できる状態に試作する必要があります。できる限り、売り出す商品と変わらない試作品の方が良いでしょう。粗いものでは自己満足となり、この段階での失敗は、協力者であるはずの社内各部署の担当者が一気に冷たくなる場合があり大変気を使います。

8.試作品での機能テスト

でき上がった試作品を用いて機能テストを行います。社内協力者にも評価をもらいます。

9.アーティストの評価

アーティストの評価を聞くことも担当します。相手は大物かも知れません。外国語でのやりとりは、誠意を示してなんとか乗り切るよう努力します (通訳付きでも構いません) 。評価を聞き必要な改良を加えていきます。評価が悪ければこの段階でも「振り出しに戻れ」と仕切り直しになることもあり、気が抜けません。

いろいろな試練を乗り越え、さあ最終決定です。

10.図面化

全体、全部分の設計を図面化します。具体的な形にするため、自分の考えを細部まで浸透させ図面として表現します。独創性および設計、開発力が必要です。

11.詳細仕様を詰める

試作を重ね、詳細仕様を詰めて営業企画担当およびトップを交えて企画を評価したら、製品の決定です。積算計算によるコスト概略の算出も重要です。

(商品企画・開発・仕入営業担当の合同作業)

12.生産メーカーの選定

描いた品質精度を提供できる委託製造先の生産メーカーを選びます。

13.協力メーカーへの説明と価格算出

選定した協力メーカーに仕様細部に至るまでの説明を行い、生産の検討および量産した場合の価格算出の依頼を出します。

14.確認

価格の入手とともに委託製造先の試作品が自分の構想通りに仕上がっているかを確認するのも開発担当の役目です。必要な改良の依頼も開発担当が行います。